〜冷えすぎ人魚・アリエルの下半身事情〜
ねえ……
人魚って、足ないよね?
……って、読んだ瞬間にツッコんだ人、正しい。
でもアリエルは、最近こう思ってる。
「海の底、マジで冷える」
「てか、生理前って、冷えなくてもキツくない?」
「なんかもう、下半身がずっと重だるいんだけど…」
「まじ、ありえない…」
足がなくても、ヒレがある。
そこが冷えて、動かなくなって、代謝も落ちて、気分も下がって――
要するに、
「人魚でも、生理前はしんどい」って話。
⸻
だからアリエル、家族の反対を押し切って、
ついに陸に上がってきちゃいました。
「王子でも魔法使いでも誰でもいいから、このヒレのむくみ、なんとかして!」って。
そんなとき、出会ったんです。
とっても足がスッキリしてる、キレイなお姉さんに。
「いいトコあるよ、ついてきな」
「ま、そいつが使うのは“魔法”じゃなくて、“技術”なんだけどな」って。
⸻
誰かの“ひとこと”が、誰かの“きっかけ”になることってある。
アリエルは、いま新しい世界に足を踏み入れようとしてる。
冷えとか、むくみとか、ホルモンバランスの乱れとか――
そんな“ガールズトラブル”を、ちゃんとケアしてもらえる場所を見つけたくて。
その脚、もう人間の足じゃない。
いや、むしろ魚ですらない。
ただただ重くて、冷たくて、鈍い感覚だけが残ってる。
でも、そんな日々も今日で終わり。
これは、人魚が本当の“自分の脚”を手に入れるまでの、
ちょっと笑えて、ちょっぴり切ない、前日譚。
⸻
次は、アリエルが誰かに「いいトコあるよ」って言う番かもしれないね。
(紹介でちょっぴりおトクになる、なんて噂も…?)