海の底には「股関節」なんて存在しなかった。
ヒレで泳ぐ生活。地に足つけて立つなんて考えたこともなかった。
でもある日、アリエルは陸に上がった。
理由は――
「王子に会いたい」とか、そんなロマンチックなものじゃなかった。
「腰、いてぇ。」
「立つって、こんなにキツいの…?」
今まで感じたことのなかった重力と、
なぜか下半身だけどんより詰まったような感覚。
階段を登れば、足がパンパン。
ずっと立ってたら、腰がズキズキ。
“え、私のカラダ、こんなにダルかったっけ?”
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その違和感の正体は、「股関節」。
立つ、歩く、座る――
実はどんな動きも、股関節が“司令塔”だった。
けれど、アリエルの股関節は長年ヒレ生活で眠っていた。
サボりぐせ、ついてたらしい。
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「そこのアンタ、ちょっと腰入れてごらんよ」
そう言ってきたのは、やたら姿勢のいいお姉さん。
ヒレじゃなく、シュッとした足でスイスイ歩いてる。
聞けば「いいトコあるよ」とのこと。
なんでも“魔法”じゃなくて、“技術”で整えるらしい。
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そこではじめて、股関節というスイッチがONになった。
施術のあとは、歩くのがラク。腰が軽い。
なんなら…脚が長く見える!?(気のせいじゃなかった)
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それからアリエルは気づいた。
股関節が目覚めると――
● 姿勢がよくなる
● 腰痛や足の疲れが軽くなる
● むくみや冷え、生理のときの重だるさにも変化が出る
さらには、腸の動きやメンタルの浮き沈みにも、じわじわ影響。
「これ、地上で生きてくにはチートじゃん…」
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股関節って、すごい。
何がすごいって、“意識するだけで変わる”ところ。
ちょっとした刺激で、ちゃんと応えてくれる。
今まで何も感じなかった場所が、
「いるよ」「ちゃんと支えてるよ」って主張してくる。
それって、なんか…
パートナーとちゃんと会話できるようになったみたいな、そんな感覚。
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海にいた頃のアリエルは、
「股関節」も、「自分のカラダの可能性」も、知らなかった。
でも今は――
“その脚、まだ本気出してない”って、誰かに教えてあげたい。