あの子との“差”は、脚の付け根だった。
――昔から、人に頼るのが苦手だった。
「大丈夫?」って聞かれても、つい「平気」って言ってしまう。
自分の足で立ってなきゃって、そう思ってた。
でも――
最近、その“足”が、重すぎる。
脚の付け根。
なんか、ずっと詰まってる感じ。
歩くだけで、体がうるさい。
考えすぎて、立ち止まる。
動けないのは、気持ちだけじゃなかった。
そういえば昔は、よく言われてた。
「灰かぶりとキャラかぶってるよね〜」って。
冷静で、距離感あって、周りに頼らない感じとか、たしかに似てたかもしれない。
でも最近、それを言われなくなった。
不思議に思ってたけど、この前、街であの子を見かけたとき気づいた。
……足、細っ。
しかも、歩き方が軽い。シルエットがまるで違った。
――そこから、落ち込んだ。
たまたま知り合った子がいた。
最近まで冷えや股関節の違和感に悩んでたって言ってたから、なんとなく気が合って。
その子が連れてってくれた、とあるお店。
正直、最初はちょっと警戒した。
でも、施術が始まってすぐ「あ、コレ本物だ」って分かった。
脚の付け根。
ずっと張ってた場所が、ゆるんでいく。
なんか、内側の流れが変わる感じ。
頭じゃなくて、体が軽くなるって、こういうことなんだって思った。
帰り道、歩きながら気づいた。
あの重だるさが、消えてる。
視界がちょっとだけ広くなった気もした。
会計のとき、連れてきてくれた子の紹介ってことで、ちょっと割引きしてもらえた。
「助かります」って言って、ふと彼女の方を見ると――
彼女、うつむいてニヤニヤしてた。
……きっとワタシを紹介したことで、彼女にもメリットがあるのだろう。